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グループ展
マシュマロ美・三田涼々美・かまあげ
尖った砂糖でできている

Statement

三つの頭が重なった少女の絵を描き、作家自身の持つ精神世界を表現している。日常的な複数のモチーフや日記のような文をコラージュのように組み合わせた作品を展開しており、日常で起きた出来事や感じたことを記する媒体として作品を制作。また、絵画の他にもインスタレーションやライブペイント、着ぐるみやお面を使ったパフォーマンスなども行っている
ーマシュマロ美ー

大学ではシルクスクリーンをはじめとする表現を学び、日常のドローイングや毛糸を用いたテキスタイルを素材に表現の可能性を模索してきた。制作の核にあるのは、ドローイングのや編み物の目を一つの「図(イメージ)」として捉え、それらを再構成・融合させるプロセスへの関心である。特に、編み物や縫い物におけるパターンの反復や最小単位の積み重ねに、版画に通ずる構造を見出している。これまで培ったドローイングの表現をベースに、絵画、刺繍、版画といった多様なメディアを横断しながら、日々の記憶や感覚の蓄積を丁寧な線や点の連なりとして表現している。
ー三田涼々美ー

制作活動を通じて、言語化できない感情の消化と、「可愛くて儚い少女」でいられる限られた時間の記録を行っている。葛藤、狂気、人間味、祈り、愛しさといった相反する感情を主題に、蛍光塗料、ラメ、シール、偏光素材など現代的な素材を積極的に用いながら、見る角度や照明で変わって見える素材の多面性で、人が抱える感情の複雑さを表現したいと考えている。将来は世界的な画家となり、故郷である北海道・美幌町に「かまあげ美術館」をつくることが夢である。
ーかまあげー

会期: 2026年8月12日(水) – 8月23日(日)
開廊時間: 13:00 – 18:00

会場: Gallery まほろば 1F
札幌市豊平区月寒西3条7丁目1番31号
休廊日: 月曜日・火曜日



●マシュマロ美
2020年
第12回道展 U21奨励賞「記録」 第54回全道美術展優秀作品「ぬいぐるみ少女の1日」
2025年
個展「Kawaii BOOM! マシュマロ美のkawail アタック展」
Ku-kan ARTIST' SFES 出展 Ku-kan 空間
2026年
TUNER AWARD2025 「引力がある君たち」入選
グループ展「北の美大展」 本郷新記念札幌彫刻美術館 本館
Art in Public 出展 「あたしがここに居たということ」 パフォーマンス映像
Think School 卒業制作展「じゃじゃーん!」最優秀賞「それがそこにあるから、それがそこにある」
みみみぱーちぃライブドローイング展示 (マシュマロ美・三田涼々美二人展) LABORATORY

●三田涼々美
2020年 高文連全道優秀「三田三姉妹」油彩/F30号 U21奨励賞「うつくし」 油彩/F50号
2022年
二人展「好奇心なふたり展」 札幌地下歩行空間チカホ憩いの間
2024年 サークルグループ展 「SETの夏休み展」 札幌市資料館
2025年
500m美術館vol.52「北海道美術学生選抜展」(札幌)
2026年
北の美大展(本郷新記念札幌彫刻美術館/札幌)
Think School 2025卒業制作展 「じゃじゃーん!」 まちづくり会社社長賞 受賞

●かまあげ
2024年
第14回道展U21 奨励賞「人権ください」
道銀文化財団主催事業「現在(いま)を見つめる眼~ Vol.20 全国にはばたく北海道の高校生たち」 第48回全国高等学校総合文化祭清流の国ぎふ総文2024美術・工芸部門「メガネガネガネ」
TUNER AWARD2024 入選「かまあげ☆〜これが私〜」
2025年
個展「大屋結展」(美幌町森のくまさん)
個展「かまあげ展」(美幌町民会館)
第99回道展 新人賞
第25回佐藤太清買公募美術展 入選
2026年
80周年記念全道展U23賞 受賞

新進アーティスト、マシュマロ美、三田涼々美、かまあげの3人は 、現代のイメージや価値観をユーモラスに解体し、新たな意味を紡ぎ出します。甘い魅力(シュガーコート)の背後に潜む鋭い批評性と時代への違和感。自らの言葉と色彩で世界に応答する、彼女たちの「静かではない」実践は、現代アートの可能性を軽やかに、そして鮮やかに切り拓いていきます。
Galleryまほろば
「かわいい」は、ときどき刺さる――グループ展「尖った砂糖でできている」が描く少女たち
山田萌果 博士(文学)、フェミニズム美学/少女表象

本展は、札幌で活動する 2000 年以降生まれの三人のアーティスト、マシュマロ美、三田涼々美、かまあげによる三人展である。彼女たちが描き出す少女の姿は三者三様であり、用いる手法もまったく異なる。それにもかかわらず、三人の作品には一貫して通底するテーマがあり、それは本展のタイトル「尖った砂糖でできている」に見事に凝縮されている。本稿では、まず三人の作品がそれぞれ美術の文脈のどこに位置づけられるのかを確認し、そのうえで本展が秘める力を、タイトルとの関連から明らかにしていきたい。

マシュマロ美は、少女をアニメ的なベタ塗りとはっきりとした輪郭線で描く。注目すべきは、少女の身体ではなく顔を、様々な角度からオブジェのように捉えている点である。女性や少女の身体をオブジェとして扱う手法はキュビズムやシュルレアリスムによって洗練され、現代であれば村上隆の等身大のフィギュア作品にみられるような、胸や臀部といった身体の性的部位の誇張が連想されるだろう。しかし、マシュマロ美が描くのは性的な部位ではなく、顔である。悲しそうな表情、怒っていそうな表情、穏やかな表情が、一つの画面のなかに同時に描き込まれる。私たちが日常のなかで無数の顔を使い分けているように、アニメ的に描かれたこの少女もまた、単一の表情には収まらない。少女を理想的なオブジェへと還元するのではなく、むしろその内面の多層性へと迫ろうとする点において、彼女の作品群は従来の少女表象の慣習に静かな一石を投じている。

三田涼々美は、ドローイングという手法そのものを主題化している。精緻なデッサンを積み重ねて完成させる絵画とは異なり、ドローイングは下絵のような未完の印象を鑑賞者に与える。だがこれは美術史的にみれば、筆跡を消し去ろうとするアカデミズムの伝統に抗う方法でもあった。三田の作品では、繊細な筆致と大胆な筆致が同居しており、鑑賞者は心地よくも不穏なその独特のリズムに、まるでパフォーマンスの現場に立ち会っているかのように引き込まれていく。本展で示されたのは、そのドローイングの手法によって描かれた、幼児がクレヨンで描いたかのような簡素な少女像であった。シンプルな線をたどるうち、見る者は自らのおぼつかない手で画用紙に絵を描いていた幼い日の感覚を呼び覚まさる。鑑賞者自身の記憶までも喚起してしまう点にこそ三田作品の強さがあるが、それは、作家自身が日常のなかで得た生身の経験を制作にそのまま反映させていることの帰結でもあるだろう。

かまあげは、「今この瞬間」を愛しむように切り取り、他の二人と比べて伝統的な油彩や日本画の技法を用いてストレートに描く。モデルとなるのは、彼女自身の身近にいる「かわいい」友人たちである。美術評論家の松井みどりは 2000 年代、社会的な主張を声高に掲げるのではなく、日常のささやかな断片や個人的な経験を組み合わせて独自の表現を編み出す日本美術の潮流を「マイクロポップ」と評した。モデルへの「好き」「かわいい」という思いをまっすぐに表現するかまあげの姿勢は、まさにマイクロポップ的と言える。古典的な油彩の技術よりも「かわいさ」を優先した結果として、油彩画にきらきらとしたシールを重ね合わせた《いちごの国のお姫様》のような作品も生まれている。かまあげのこうした手つきは、絵画のルールや芸術の制度そのものを、軽やかに、しかし確実に踏み越えてしまうのである。

三人がそれぞれ異なる手法で「少女」や「かわいさ」に向き合っている点にこそ、本展の面白さがある。少女やかわいさというモチーフをめぐっては、1990 年代以降、村上隆や会田誠に代表されるように、日本のアニメ文化を現代美術へと接続する試みが繰り返されてきた。それはアメリカのポップ・アートがそうであったように、サブカルチャーと高級芸術の境界を曖昧にすることで「芸術とは何か」を問い直す試みであると同時に、日本の場合は「日本美術」なるものを更新し、欧米中心のアート・ワールドへ戦略的にアピールしていく側面も併せ持っていた。そこで少女は、アニメのなかで描かれ続けてきたように、欲望の受け皿としてひたすら理想化されてきた存在でもある。

本展がこうした流れの単なる延長線上にあるかといえば、そうではない。マシュマロ美、三田涼々美、かまあげの三人は、少女を理想化することなく、それぞれの経験に基づいて描くことで、これまで魂を持たないオブジェに過ぎなかった「少女」に命を宿す。彼女たちは「少女」を理想化しない。かといって、「かわいさ」に内包される「甘さ」や「幼さ」を否定するのでもない。ただひたすらにそれらと向き合い、そこに潜むネガティブな感情や揺らぎまでも引き受けたところに生まれたのが、本展「尖った砂糖でできている」なのではないだろうか。尖った砂糖を舌の上で転がすと、たしかに甘い。だが甘いからこそ油断していると、時折その尖った部分が舌に突き刺さる。そのちくりとした痛みのなかにこそ、現実を生きる少女たちのリアリティが宿っている。

こうした少女たちのリアリティを表現した作品は、これまで公の場になかなか出ることがなかった。仮に発表されたとしても、好奇の目に晒されるばかりで、正当な評価を受けることは少なかった。だからこそ、三人がそれぞれの流儀で少女という主題に真正面から取り組み、互いの表現を認め合いながら一つの空間に並べてみせた本展の意義は大きい。甘さの奥に潜む刃を隠すことなく差し出したこの三人展は、少女表象をめぐる美術の文脈に対して、静かだが確かな更新を促すものであった。
(美学者)

マシュマロ美 展示作品

空色が上、きみどりが下
2026年/F40号/アクリル絵の具、色鉛筆、銀紙、木製パネル 
元気溌剌
2025年/F30号/アクリル絵の具、色鉛筆、銀紙、木製パネル 
いいとこトリミング2026/7反転ver.
2026年/S3号/アクリル絵の具、色鉛筆、木製パネル
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三田涼々美 展示作品

Accumulation 
2026/S50号/木製パネル、和紙、鉛筆、顔彩、透明水彩、アクリル絵の具等 
The girl
2026年/380mm×455mm/水彩紙、美濃和紙、石版リトグラフ、油性インク
2026,2
2026年/SM号/木製パネル、和紙、鉛筆、顔彩、アクリル絵の具

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かまあげ 展示作品

ひとめぼれ虚数
2025年/F130号/アクリル絵の具
虚数の証明
2026年/F50号/アクリル絵の具、シール
透明な君
2026年/F6号/雲肌和紙、岩絵具、膠
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